○千年を越えて
今から約1000年前、雅な平安時代の日本から遙か遠い地中海地方ではアラブ・イスラム世界が繁栄のさなかでした。
アレッポもシルクロードと地中海を結ぶ交易地として、大いに賑わい、世界中から多くの商人が訪れていました。
スーク(市場)は栄え、キャラバン・サライ(ラクダ商隊の宿)にもたくさんの商人が集い、アレッポの特産品のひとつとして石鹸も高い人気を博していました。
15世紀には、オスマン帝国の首都へ、年間500トンもの石鹸が輸出されていたことが記録に残されています。
17世紀に入ると、ヨーロッパの商人達によって石鹸づくりのノウハウが持ち帰られ、ヨーロッパにも石鹸ブームが興りました。
そして、さまざまな時代を経てきた今日、営々と伝統を守り、つくり続けられてきたこの石鹸は、中東、ヨーロッパのみならず、海を越えて広がっているのです。
1000年を越えて愛され続けてきたアレッポの石鹸。いまだ健在です。
○製法
アレッポの石鹸は、3昼夜、釜で焚き、ゆっくりとつくられ始めます。
釜で焚いてから、ひとつひとつ積み上げられ、最初は緑色の表面が徐々にアメ色に変わっていき、1〜2年の熟成期間を経ます。
原料のオリーブオイルとローレルオイルの原産地であることはもちろんのこと、乾燥した空気のもとで熟成されていくこの製法も、地中海からの風と、砂漠の熱風が出会う、この地方独特の気候だからこそできることなのです。
アレッポの石鹸は、アレッポを代表する石鹸メーカー、アデル・ファンサ社で、つくられています。
○アレッポの石鹸は2タイプ。
どちらも原料のオイルは、地中海地方原産のオリーブオイルとローレルオイル。
違いはオイルの比率で、製法は同じです。添加物や香料は一切使われていません。
昔ながらの釜焚きですので、石鹸をつくったときにできるグリセリンがたっぷり含まれています。